大原かおり インタビュー OTTY
無類の動物好きとして知られる大原かおりさん。現在はクリーム色のカーリィヘアが印象的な愛犬と同居中だが、幼い頃は、実家が八百屋さんであったため、大好きな犬を飼う事はできなかった。それでも、週末には犬を飼っている親戚の家に遊びに行き、散歩をさせるのが楽しみで、日が暮れるまで犬達と一緒に河川敷を無我夢中で駆け回った記憶が、今でも鮮明に思い出される。

「週末、学校が終わると真っ先にバスに飛び乗り、いとこの家に泊まりに行くんですよ。犬の散歩のために! 一緒に走るのがなによりの楽しみで、時間を忘れひたすら走っていました。犬の事も考えずにね(笑)。」
幼い頃の犬達との触れあいの記憶は、決して楽しいものばかりではなかったが、触れあいを通して、生命あるものとの接し方や、世の中が抱えている様々な不条理など、多くの事を学び、感じ取ることができたという。

親戚の家で飼われていたのは3匹で、内2匹は河川敷に捨てられていた犬達だ。一匹は酷い虐待を受けていて、ヒゲは焼かれ、片足の骨が折られていただけでなく、両目はアロンアルファーで接着され、完全に光を失った状態で放置されていた。もう一匹は外傷こそなかったものの、常に情緒不安定で時には攻撃的になり、残念ながら最後まで人に心を開く事はなかった。

「決して経済的にめぐまれていた訳ではなかったんですけど、いとこ家族は、どうしても見て見ぬ振りができず、そんな不幸な境遇の犬達を引き取り、大切に育てていましたね。」「どうして捨てるの!? どうして何の罪も無い、無防備な小さな動物を虐待するの?」

子供心にも、動物達が身近で虐待されていることに大きなショックを受け、このような不条理で無意味な現状が、どうしても理解できずに苦しんだという。
実家で犬を飼っていたことはないが、小さい頃から常に犬を身近に感じ、いつかは犬と一緒に暮らしたいと願っていた大原さん。そんな彼女の願いは、約8年前に現在の愛犬との、2年越しの運命的な出会いによって果たされる事になる。

「友達が持っていた海外の雑誌をたまたま見ていたら、当時まだ日本では馴染みの薄いトイプードルの姿が! そのお人形さんのような犬が、トイプードルだなんて知る由もなく、雑誌の切り抜きを片手に、知人や友達に尋ね回ったんですが、当時は今とは違って犬の情報は殆どなく、なかなか見つからないまま2年のもの月日が過ぎたころ、番組の収録で地方にいった時、『これ飼ってるよ!』との知人の声。その瞬間、思わず心が動きましたね。」

それから右往左往することはあったものの、無事家族の一員となった愛犬は、今では7歳半。その愛らしさから、当初は英語の辞書を片手に可愛い名前をと考えたが、むしろ、小さくてか弱そうだった愛犬には、強く育って欲しいとの想いから『銀次社長』と名付けた。
大原かおり 写真 インタビュー2
大原かおり 写真 インタビュー3
そして銀次には、家族の一員として自然体でいられるように、開放的な中にも、自分のポジションをきちんと教えた。

「犬の世界では縦の関係が重要なんですよ。メリハリをつけた躾けを意識して、信頼関係を築き上げるように努力してきました。銀次が戸惑わないように、主従関係をはっきりさせるんです。 それもこれも、銀次が人間社会に適応し、自然体で快適な生活を送れるようにとの願いを込めて・・・。」

「普段は従順で、私の言う事を聞く銀次ですが、困った事に、大の犬好きなんです(笑)。 食事や人間にはあまり興味がないようなのですが、他のワンちゃんがくれば、もうダメですね(笑)。 まるで子供が好きな事に夢中になると、他の事は目に入らないみたいに。」


今では、互いに適度な距離感を大切にしつつ、本物の家族ともいえる関係を築いている銀次とは、楽しい時も辛い時も共に過ごし、同じ時間の流れを共有してきた。

「振り返ってみると気付かないうちに癒されている事が多かったですね。いろんな意味で救われたし、悲しい時もただじっと私を見つめ、傍にいてくれた。銀次が全てを理解しているとは思わないけれど、それだけで救われた部分が大きいですね。」
そんな掛替えのない銀次に、少しでも快適な生活を送って貰いたいとの願いから犬の洋服を中心としたブランドを立ち上げた。今でこそ、愛犬家の間で人気が高く、ファンの多い『OTTY』だが、ブランド立ち上げに際しては苦労話が後を絶たない。

「立ち上げ当初は右も左も解らない状態で、洋服のブランドといっても、アパレルの学校に通ったり、デザインの勉強をした訳でもなく、なにもかもが手探り状態で本当に大変だったんですよ。とにかく覚えなければいけない事が多かったですね。スタッフが帰った後、毎晩一人で夜中まで残って作業していると、悲しい訳ではないけれど、勝手に涙がこぼれてとまらないこともありましたね。」
大原かおり 写真 インタビュー4
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グラビアアイドルとしてデビューの後、バラエティからドラマまで幅広く活躍する大原さんだが、今では『OTTY』の比重が大きく、撮影や取材の前後には必ず銀次とともに会社に出社している。 そして犬と人間の間に存在する、『想い』『楽しさ』『幸せ』などをカタチにすると共に、その裏にある、人と人、人と動物とのコミュニケーションを大切にしているという。

「ペット業界はまだ歴史も浅く、ブランドを立ち上げた当初は、皆、どの方向に進めば良いかも解らず、試行錯誤を繰り返していたように思います。大変な時期もあったけど、やめるタイミングも勇気もなく、振り返ってみれば、4年程も続けてこられているのですけどね(笑)。それでも多くの反響や励ましの言葉をいただいて、何とはなくですが、自分達の進むべきビジョンが明確になってきたような気がします。」

犬の洋服やアクセサリーに力を入れる『OTTY』。洋服は機能面だけを追求するのではなく、飼主と愛犬が共に楽しめるようなペアの衣装であったり、愛犬をより身近に感じてもらうためのコミュニケーションツールになってもらえればとの思いも込められている。

「犬には洋服を着てもらいたいんですよ。虫やフィラリア予防の観点からみても効果的ですし、特に小型犬などは、大型犬のマーキングが直接体に付く場合もあります。ただ、犬にとって着心地が悪く不愉快になる洋服は着せたくないので、形にはこだわってます。 せっかくの洋服もワンちゃんの大好きな散歩がストレスになってしまう事もありますからね。」
現在、大原さんが目指しているものがある。 それはドッグライフカウンセラーの資格を取得すること。本当に困っている人に曖昧な対応ではなく、理論に裏付けられた的確な情報を提供し、飼主と犬達が幸せで快適な生活を楽しめるように少しでもお手伝いできれば幸せだという。

「試験に合格するのが目標ではなく、一つ一つの知識を自分のものにしていきたいですね。そして、自分のワンちゃんしか可愛くないとか、うちの子が一番だとかいうのではなく、皆が、犬が本来持つ特性を理解した上で、本当の意味での人とワンちゃんが楽しく共生できる事を望んでます。」

ペットとして命を授かった犬達は、飼主からの愛情はもとより、社会からの理解がなければ、幸せに生きて行く事は出来ない。自分達に何ができるか、未知数なところは数多くあるが、人間の都合ばかりではなく、人と犬とが良いカタチで共生共存できるように、同じ目標をもった仲間達と、楽しくぶつかり合いながらも前進していきたいという。

「私自身、全てを変える事ができるとは思ってないし、想いが全ての人に届き、共感してもらえるとも思ってませんが、犬との生活を通して学び、感じ取ってきた経験を大切にしながら、他人への配慮を第一に考えて、今自分に出来る事から始めたいですね。そして、不幸な境遇の犬達が少しでもいなくなるような、そんな社会作りに貢献できればと切に願っています。」

・大原かおり オフィシャルブログ
・Otty's world オフィシャルサイト
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