ニュージーランドは南西太平洋に浮かぶ2つの主要な島と、数多くの小島からなる、手つかずの大自然が多く残る自然豊な国。 人口約400万人に対し、実に年間100万人以上もの観光客が海外から訪れる、世界で最も美しい国の一つとして多くの人々を魅了してやまない。気候は温暖な西岸海洋性気候で、年間を通しての気温差も比較的少なく、スポーツやトレッキングなど自然を満喫したり、リラックスするには最適の環境にある。
そんな人にも犬にも優しい環境で生まれた『羊の国のラブラドール絵日記』。犬好きの人であれば、誰でも一度は目にした事であろうこの人気ブログを通して、ニュージーランドの犬事情を覗いてみた。

著者であるマーティンゆうさん、愛犬クロエとエビス、そしてイギリス人のご主人によって繰り広げられる、日々の暮らしが綴られたサイトは、その人気の高さから'06年に書籍化されているほどだ。
ブログの主人公は、もちろん2頭の愛犬ラブラドールレトリーバーだ。真面目で優等生、ちょっとオーバーウェイト気味だけど、フリスビーと水泳が得意の『クロエ』は、2001年生まれの女の子。そして、天真爛漫で筋金入りの暴れん坊だが、なぜかお姉ちゃんのクロエにはまったく頭の上がらない『エビス』は、2003年生まれの男の子。

そんな性格の異なる犬たちの、特徴を上手く捕らえたゆうさんが作り出す世界は、何とも微笑ましく、思わず吹き出してしまいそうになるユニークなものからお役立ち情報迄、多くの人々を魅了し続けており、実際に彼女の世界観に魅せられて、同国を訪れた人も多いという。
 
ゆうさんに、ニュージーランドと日本との犬生活の違いについて尋ねてみると、「日本では、幼い頃に犬との生活を経験しただけで、比較は難いのですが、ニュージーランドでの犬生活は、本当に最高で大変満足しています。こちらでは、『オフリード』で遊べる広場が沢山あり、読者の皆様から、羨ましいと言われることも度々です。ただ、実際には凄く気を使っているのですよ(笑)。というのは、他の犬たちも勿論『オフリード』、ちょっとした事が思わぬ事態に発展する可能性があるわけです。うちの犬達はどちらも大型犬なので、特に小型犬と遊ぼうとする時には、誤って傷つけてしまわないかなど、必然的に気を使うようになります。心配しだすとキリがないのですが、殆どの飼主さんは全く意に介さず、時にはノリの悪い相手の犬に対して、エビスが吠えて誘ったりしても「『犬は吠えるものよ!』と、おおらかなものです。」
ここでは犬同士の事は、犬達が一番良く理解しているという『犬社会のルール』を、飼い主達も、しっかりと認識していることがうかがい知れる。そして、あまり神経質になる必要もなく、犬達が本来あるべき姿を満喫し、自由奔放に楽しめる場が、数多く与えられている事に感謝すると共に、人々の『犬社会の仕組み』に対する理解度の深さなど、学ぶ事も多いと言う。
そんなニュージーランドだが、犬の排泄物処理に関するマナーはかなり大雑把で、広大な大自然の中、茂みの中で果たす排泄行為に関しては、『目立たない』『樹木や芝生の栄養になる』などの理由から、放置する人も多いという。特に年配の方々に、そのような考えが強いようだ。
しかしながら、ここ数年の急速な移民の増加に伴い、文化面や犬に対する考え方にも少しずつ変化が見られるようになってきた。こんな状況変化にゆうさんは、新しい文化を取り入れながらも、この国の人々が自然と旨く調和しながら、自然体で築き上げてきた理想的な環境が、これまで通り維持される事を願ってやまないと言う。そして飼主としてのマナーや美しい環境を守り続ける為にも、排泄物の処理は大切なテーマの一つであると訴えかける。
最後にゆうさんにとって、犬と人間との理想的な関係について尋ねてみると、「犬はどんな環境下にあっても、人間に対して無償の愛情と忠誠を誓う生き物です。そんな掛替えの無い犬達に、私達は大切なパートナーとして心から応えてあげる必要があるのです。その為にも、人間の視点からだけで物事を考えるのではなく、犬達の立場から、そして各々の特性や性格、更には生活環境まで考慮する必要があるのです。そうすることにより、飼主だからこそ知り得る情報が、家族である『犬との絆』をより一層深める事になると思います。」
その土地固有の事情や習慣、気候など、異なった環境下に生きている犬や私達、理想論だけでは通用しない現代社会等、問題点は沢山あるものの、「出来るだけ多くの人と犬達が、バランスの取れたライフスタイルを共有し、共に快適で幸せな生活が送れる社会の実現が理想」と、熱い思いを語ってくれた。
確かにニュージーランドは、他の多くの国の犬事情に比べると非常に恵まれており、愛犬家にとっては、最も理想に近い環境にある国と言えよう。緑豊かな大自然、自由気侭にオフリードで遊べる環境など、どれをとっても、我々日本人には羨ましいように感じる事ばかりだが、犬と共に生活するということは、『犬社会の理解』と共に『人としての資質』が問われているのではなかろうか。
自然豊かで大らかな人達が多い国で生活することから得られる、今ある環境への感謝の念、生き物の本来あるべき姿に対する理解など。そして、何よりもこの国の美しい自然環境と、犬と人との快適な生活空間が、保ち続けられることを願って、日々地道な努力を積み重ねている、そんなゆうさんにエールを。

■イラスト&写真提供/取材協力 :マーティンゆう ■ブログ :羊の国のラブラドール絵日記NEW!!
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